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ちゅーりっぷ前線 −記憶を辿るノォト−

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ちゅーりっぷ前線 −記憶を辿るノォト−
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ここでは、

黙っていてくれて、構いません。

窓越しに、ちょっと中をのぞいてみた画廊。

そんな感じで。
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the high school days 9 - どうしても思い出せない! -

2017/10/18 11:28
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美術の授業は、デッサンの次は油絵だった。

静物画。
デッサンのときと同じように、美術教師が
教室のあちこちに設えた静物のレイアウトから、
生徒は好きなのを選んで描いてゆく。

私は一番人気のないのを選んだ。
そこは私を含めたったの三人…
女子二人と私であった。

自分の性格のこういうところー人混みを避け
人が寄りつかない場所を好んで行こうとするところー
は、どうやら昔っからのようである。

さて油絵のほうだが、ビギナーズラックに恵まれた。
わりとうまく描けたのである。
初めての事というのは印象に残るものだから
構図も覚えている…つもりだったのであるが、
どうしても一箇所思い出せない。

車輪の前には造花の葉っぱと、もう一つ何かが
あったのだが…。

これ、5年まえだったら思い出せたような気がする。
くやしいなぁー。
























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the high school days 8 - 図書館にて -

2017/10/14 12:27
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その時私は、生物の試験勉強をしていた。

(斜め向こうの女子高生が机から離れたら、
次は地学をやろう…)

だが、その女子高生はいつまでたっても
机の前を離れないのである。

私は意地になって生物を続けた。

しかし女子高生は一向に机を離れる気配がない。
本を読んではペンを走らせている。
一心に没頭するその集中力と持続力には舌を巻いた。


窓の外が暗くなって来た。

(…帰ろう。)

結局、地学の勉強を全くしないまま帰途についた。


高校に入って最初の定期試験、一学期の中間テスト。

生物はまあまあ。
地学は赤点だった。













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the high school days 7 - 砂嵐 -

2017/10/06 17:04
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土曜日の午後。

吹き荒れる四月の強風は、
グランドをまるで砂漠にしていた。

砂嵐に襲われた砂漠だった。

砂がバチバチと顔に当たり続ける。
まともに息もできないし、目も開けていられない。

今日の練習メニューは、5000mと1500mのタイムトライアル。

(こんな中で走るのかよ…いや走れるのかよ…!)

ひとりトボトボとアップを始める戦意消失の私に、
その時朗報が入った。

「今日の練習は中止だ!」

顧問のS先生が両手をメガホンにして、向うの方から
叫んでいた。

(あぁ助かった―…。)

言われてみればグランドには私しかいなかった。
最もたくさん練習をするサッカー部と野球部さえいない。
それほどの砂嵐だった。


普通の感覚ならば、グランドに降り立つ前にわかるのだろうが、
なんせ私は子ども時代、自ら竜巻に飛び込んだバカタレである。

高校生になっても、その辺がズレていたのである。
























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the high school days #6 「パンは食べるもの」

2017/10/02 21:32
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高校では選択授業というのがあった。
音楽、書道、美術、この三つから一つを選択するのである。
私は一瞬の迷いもなく美術を選んだ。

週一回の美術は面白かった。
入学して最初の課題は木炭デッサン。

いくつかの石膏像が教室の何箇所に置かれ、
生徒たちは思い思いに、自分が描きたい像の前に陣取った。

私は一番簡単そうな石膏像を描くことに決めた。
Kもいそいそと、隣でイーゼルを構えている。
どうやらKも同じ理由でそこに陣取ったらしい。

Kは14クラスあるマンモス中学校での3年間、
ずっと一緒のクラスだった縁のある友人だ。
彼はよく笑い、いつも楽しそうにしているから、
一緒にいるこちらまで明るい気分になってくる。

そんなKが隣にいるデッサン…
真面目に没頭するわけがない。
木炭を消すための食パンをモグモグ食べながら、
喋くってばかりいた。

そのときはまさかその6年後、画家のアトリエで
本格的にデッサンを習っている自分など想像も
していなかった。

未来はわからない。面白い。
あの時の自分が今の私を見たら、何を言うだろう…?

「相変わらずキライなんだね、デッサン…」

そんなところだろうか。











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the high school days 5 - A先生とのご縁 -

2017/09/29 22:11
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担任は、日本史のA先生。

入学式の日、教室での初対面の挨拶で
(いい先生だなぁ…)
直感でわかった。

話すときの様子、使う言葉、声の調子、話の内容…
虚勢を張らない静かな物腰からは、大人特有の処世術臭
が微塵も匂ってこないのだった。

後日、A先生が次姉の直属の先輩だったことがわかったとき、
その偶然に私は驚き、同時に納得もした。
二人にはどこか同じ雰囲気を感じたのである。

A先生と次姉は、同じ大学の同じ学部の同じ学科、卒論でついた
教授も同じであった。
ただ二人には面識がない。姉が入学したときにA先生はすでに
卒業していたのである。

ところがなぜかA先生は姉の名前を知っていて、
「お姉さんが優秀な学生だったと(教授から)聞いています。
いつか卒論を読ませて下さい。」
と、言われたことを覚えている。

A先生が姉の卒論を読むことはついになかった。

しかし面識はそれから38年後に持ったのである。
昨年の私の舞台を、二人は偶然同じ日に観に来たのだ。
長い時を隔てて実現したご対面を一番喜んだのは、たぶん、
「同じ雰囲気の二人」と勝手に思っていた私である。


ps.はっきり言ってこのイラスト、あまり似ていない…。













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the high school days 4 - お爺さん -

2017/09/28 19:27
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小さな教会の隣には小さなパン屋さんがあった。

パン屋さんといっても自家製パンではなく、かの有名な
Yパンを売るお店だった。

店の前にはベンチが置いてあり、部活帰りの生徒たちで
毎日賑わっていた。
店は、お爺さんとお婆さんがやっていた。

いつか真夏の酷暑の中を走った後、パン屋さんに直行
して店先で1リットル牛乳をラッパ飲みした記憶がある。

ぐびぐびと一気に飲み干し、空のパックを棄てようと
ふり返ると、お爺さんが店の奥からぼんやりとこちらを眺めていた。
痩せたサンタクロースみたいだった。










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the high school days 3 - ちいさな教会 -

2017/09/27 21:55
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正門前の坂道を上ってすぐのところに、小さな教会が建っていた。

登下校で前を通るたび、閉まった扉を横目で見るのが常だった。
扉というのは面白いもので、なんとなくその家の中味が
出てしまう。
感じの悪い扉、あったかみのある扉…

教会の扉は、おだやかな表情の扉だった。

私は当時も今も不信心な人間なのだが、
小さな教会の佇まいが醸し出す善良な落ち着きを、
感受性のどこかで受け取っていたような気がする。


あるとき、教会が人で賑わう場面に出くわしたことがある。
日曜礼拝とかそういった集まりが終わって、大勢が中から
出てきた。

その間、扉は開け放たれたままであった!

私は必死で奥をチラ見した。(必死だからガン見か…)
しかしさて、いったいどんなだったのかは、覚えていない。

結局私は高校の三年間、小さな教会には一度も足を
踏み入れることはなかった…と、”思う”。

”思う”? 

そう、ここからがミステリー。
実は、なぜだか、教会のトイレが、記憶の映像に残っているのだ。

こんなの変である。
中に入った記憶がないのにトイレを知っているなんて。
いったいどういうことだろう!?

「もしかしたら”大”が我慢できなくて飛び込んだかも…」

考えているうちにそんな気がしてきた。

私ならありえる。
それ得意だから…。










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